初の議会とパレスチナ、ベネズエラ、気候変動チケット
writer: Mari Adachi Editor-in-Chief of Beyond Media
〜11月29日のラジオ川越の放送から〜
初の議会開催から131年
今日は11月29日ということで語呂合わせで「いい肉」の日は有名ですが、あえて、それ以外をあげたい。
131年前の今日、1890(明治23)年のこの日、大日本帝国憲法(=明治憲法)発布を受けて、
初めての議会、=帝国議会が開かれた。
でもこの議会はまだ国民の代表機関にはなっていなかった。貴族院と衆議院からできていたが貴族院は皇族や華族(華やかな族と書く)によって構成されていた。衆議院は一応、公選(選挙で)ということだったが、選挙権・被選挙権とも一定の納税額をもってその資格要件とする制限選挙というもので、女子の参政権は認められなかった。
そんな時代を経て、今はとりあえず選挙権、参政権において男女平等なんだけどね~~~。
何度も言うけれど、女性の議員は衆議院でわずか9.7%、閣僚にも女性はいないに等しい。これは政治だけじゃないけどね。。。
パレスチナ人民連帯国際デー!
11月29日はパレスチナ人民連帯国際デーでもある。1977(昭和52)年の国連総会で制定された国際デーの一つ。
パレスチナ、そして中東情勢はいまだに不安定。東エルサレムにおける衝突と暴力、ガザ地区からのロケット弾発射や、イスラエル・パレスチナをめぐる最近の情勢は、まだまだ緊張している。宗教上、そして歴史上、民族としてもなかなか譲れない、一言では伝えられない、とてもとても複雑な情勢。
でも、こういう情勢こそ、学校教育では丁寧に教える必要がある気がする。私は大学で国際経済などを教えているが、こういう民族間の問題などは教えるようにしている。と言うのは、中東の状況、情勢がこれまた世界の経済を大きく動かす要因にもなるから。何事も、歴史を知って、いま、起こっていることをまずは知ることが大切。
中東情勢に欠かせないのは、勢力図。アメリカがどうしてもイスラエル寄りになってしまうので、それがどう影響するのか、そうしたときに日本はどう中立を保てるのか、ぜひ、日本には中東和平に、間に入って、力を発揮してほしい。
強行姿勢のイスラエルに対して、これまでの不平、不満が溜まっているパレスチナ。結局、いつも犠牲になるのは弱い人たち。子供や女性たち。どこかでゆっくりこのパレスチナ問題は取り上げたい。
サンクスギビングもインフレがひたひた・・・
今年のサンクスギビング関連の話題は、なんといってもインフレの話。アメリカ農業連合会によると、今年の感謝祭の家庭での食事にかかる費用(10人分)は53ドル(約6000円)だそうで、前年比で14%増えたとのこと。アメリカ農業連合会は1986年から調査を実施しているが、これまでの過去最高額は2015年の50ドル。今年はそれを3ドル上回り、過去最高を更新。
なかでも感謝祭に欠かせないメニューの七面鳥(ターキー)への出費が、1匹=約7.3Kgで
1年前に比べて24%も値上がりしていた。パンやクランベリーなど七面鳥以外の食材は6.6%の値上がりとなり、消費者物価指数(CPI)とおおむね連動している。
七面鳥の上昇率がとりわけ大きい理由について、専門家は加工大手のホーメル・フーズの
過去1年の株価は8%下落している。NYダウ平均が20%上昇していることから比べると大きく引き離されている。
一方、食品大手のタイソン・フーズの株価は実は、過去1年でダウ平均を上回る28%も株価が上昇している。背景には・・・「生産性向上への取り組みが好意的に受け止められている」とされている。
タイソン・フーズ社は11月中旬、加工工程の自動化や人工知能(AI)を使った供給体制の効率化などを進め、2024年までに年間費用を10億ドル=1140億円ほど削減すると明らかにした。
アメリカはいま、原料高、物流コストの上昇、人手不足などで、さまざまな商品の価格が上がってしまうインフレ状態ではあるが、企業もコストを削減しながら、少しずつ、消費者に受け入れてもらえる程度に、販売価格を上げていっているところは株価は上昇している。
まあ、相当難しい舵取りだと思うが、企業の腕の見せどころ、といったところでしょうか。
オーストリアで始まった公共交通機関の年間パス
2040年までに、カーボンニュートラルを達成するという目標を掲げるオーストリア。この目標達成に向けて、同国が取り組んでいることのひとつが、低炭素な交通手段への転換だ。2018年時点では、自家用車が同国の旅客移動距離の70%を占め、公共交通機関が占める割合はわずか27%だった。オーストリアは、今後も引き続き、公共交通機関への利用転換を進める必要があるとの認識を示している。
そのための取り組みとして、2021年10月に始まったのが、国内すべての公共交通機関で使える年間チケット「Klimaticket Ö(気候変動チケット)」の発売だ。鉄道はもちろんのこと、バスや路面電車でも使えるこのチケットの価格は、1,095ユーロ(約14万4千円)。1週間あたりに換算すると21ユーロ(約3千円)、1日あたりだと3ユーロ(約400円)。
Klimaticket Ö=は、その価格の安さで注目を集めている。たとえば、スイスが提供する公共交通すべてで利用可能な年間チケット「GA Travelcard」の価格は3,860スイスフラン(約48万円)、オランダが提供する週間チケット「Holland Travel Ticket」の価格は63ユーロ(約8千円)だ。スイスやオランダの、約3分の1の価格でチケットを提供するオーストリアは、気候変動対策に焦点を当てているのが特徴。
チケット価格が安い分、このシステムを維持するためには、多くの税金が使われることになる。CNNによると、Klimaticket Öを提供するために政府が拠出する費用は、年間約1億5000万ユーロ(約197億円)にも及ぶという。そのため公共交通が発達していない地域からの反対の声が上がることもあったとのこと。交渉は2年近くかかった。
粘り強い交渉を支えたのは、カーボンニュートラルを達成するという国の長期的なビジョンだった。同国の「モビリティマスタープラン2030」では、2040年までに、旅客移動距離に占める自家用車の割合を54%に引き下げ、公共交通機関の割合を40%に引き上げることが目標として掲げられている。
こういった動きに対して「自動車の低炭素化も進んでいるのでは?」と疑問に思う人がいるかもしれない。しかし、オーストリア政府によると、鉄道旅客輸送における乗客1人あたりのエネルギー消費量は、電気自動車の55%で済む。そのため、公共交通機関への利用転換を優先した方が、効果が大きい。
このオーストリア、コロナ感染拡大により、今はロックダウンに踏み切っているが、解除されれば、また気候変動チケットを使って、世の中の活動が戻り、そして環境に配慮した生活が始まることだろう。
日本もオーストリアと同じように、地域によって公共交通の発達の具合が異なる。国土交通省によると、平日に鉄道・バスが利用される割合は、三大都市圏で約30%、地方都市圏では約7%。
このような状況の中、どのように環境負荷の少ない交通体系を整備すればいいのか、検討してみるのは、十分価値があることだと思う。
南米ベネズエラの選挙
なかなか皆さん、ベネズエラは馴染みのないところかもしれないが、ここ、選挙をめぐって大きく揺れている。
南米ベネズエラでマドゥロ大統領と対立する野党陣営は自由で公正な選挙が行われないとみて、この4年間、選挙をボイコットしてきた。しかし、今月21日に実施された統一地方選では戦略を転換して全国で候補者を擁立したものの、大敗を喫してしまった。
何が起こっているのか・・・マドゥロ氏率いる与党・統一社会党(PSUV)は知事選で23州中少なくとも19州(1州は未確定)、市長選では335市のうち首都カラカスを含む200市以上で勝利。与党ナはは「一足早いクリスマスがきた」と勝利を宣言。
一方、野党はいくつか乱立しているが、その野党にとっては選挙でマドゥロ政権と闘う上で難しい選択を迫られる結果になった。
特に、欧米諸国は、野党指導者フアン・グアイド氏を支援していて、その欧米各国にとっても大きな敗北だし、痛手。野党の指導者、グアイド氏はアメリカから正当な暫定大統領と認定されている。
今回の地方選では、欧州連合(EU)が15年ぶりに監視団を送ったことで選挙結果に「お墨付き」が与えられた格好になった。だが、海外では批判の声も広がっている。
アメリカのブリンケン国務長官は「ベネズエラの現政権は投票日のずっと前から選挙結果を左右するプロセスを著しくゆがめてきた」と語っている。
また、ニューヨークに本部を置く国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチも、投票日当日に不正行為や脅迫、暴力事件が数々報告されている、と強調。「この国では自由で公正な選挙が行われる条件が整っていない」とも述べている。
選挙不正もあるが、野党側も分裂していて、今回票が割れたことも敗北の大きな要因。今回の地方選では100を超す政党が候補者を擁立した。7万人以上の候補者のほとんどが、小さな野党グループから出馬。州知事や市長など3082のポストに対し1ポスト平均23人が立候補。それじゃ、ちょっと自由で公正な選挙、と言うのはそもそも難しい。
与党政府はそれを放置しているとも言える。まともな選挙をやらせないように・・・。
欧米各国は来年1月、野党のリーダー、グアイド氏をベネズエラの正当な暫定大統領としてもう1年認めるかどうかを決める、というが果たしてどうなるか・・・。民主主義を勝ち取るのは本当に難しい。
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