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  • 執筆者の写真Beyond Media

何度も裏切られてきた「社会」

writer Makoto Kikuchi from note

社会派ニュース形式風刺コメディ番組Daily Showの司会、トレバー・ノアが警察官により殺されたジョージフロイドの事件を受けて米国で起こっている暴動について話しました。


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これはドミノ倒しだ。


1話1話が次のストーリーの元になり、最後には大きな波になっている。


先週から流れてくるニュースの連鎖がいい例。


Amy Cooper(セントラルパークで犬をちゃんと綱につないで、と黒人男性に注意され逆切れ、警察を呼ぶわよと脅した後に、本当に警察に「黒人男性に脅されている!」と嘘の通報をした), George Floyd, People in Minnesota 。


しかもこれがコロナ禍で起こったという事。私達は仕事を失い、家に籠ってずっとニュースを見、読んでいた。いつまでこうしていたら良いのかも分からず、籠っていた。そして日々「黒人の死亡率が格段に大きい」と報道されていた。


そこでAmy Cooperのニュース。他の人種より自分たちが被害を受けているコロナに加えて、やっぱりいつも通りの人種差別も受けなければいけないのか、と思った。


この女性が白人の上位性を使って黒人男性の命を脅かす術を知っていることは明らかだった。社会の構造的な人種差別を、彼女は理解している、という紛れも無い証拠だった。彼女が彼の目を見て

「警察に通報してやる。African american manに脅されている、って言うわよ!」

と言った時、彼女はそれがどれだけの力を持っている事か、分かっていた。彼女の白人女性としての警察への受け取られ方、この黒人男性の警察への受け取られ方、彼女は知っていた。


黒人が人種差別に関して発言する時(もう平等な世界なのに)「何を言っているのか分からない」という態度を取る人が多数いるが、Amy Cooperは完全に分かっていた。「この人は警察が怖い(差別される事を知っているから)。これを武器にできる。どっちが正しいかなんて関係ない。私の勝ちなんだから。」。

黒人はあれを見て(差別は無いと言う)白人に向かって「ほらみろ!お前らやっぱり差別の事、分かってるじゃないか!」と思っただろう。


もちろん白人が差別に気づいてるなんて分かってた。しかしここまではっきり画面で見る事は無かった。


これが第一のドミノ。


アマード・オーバリー銃殺事件を経て、ジョージ・フロイド。彼の最後の数分間のビデオ。


見るのが辛いビデオ。何が辛いのか良く考えてみる。


彼の命が私達の目の前で取られて行く事か

私達を守ってくれるはずの男が、彼の命を奪った事か

その男がとても静かに殺人を遂行している事か


いつだって警察の暴力への説明は「自分の命の危険を感じた。恐怖を感じた。自己防衛だ」というもの。この男は全く怯えていなければ、危険を感じてもいない。とても静かなものだ。恐怖じゃない。殺せるから殺した、それだけだ。黒人の男が手錠をされて道に横たわっている。こいつは殺せる。だから殺した。これで罰を食らうことはないと分かっていた。


誰もがあのビデオを見た。

誰もが反発した。

全員だ。


それも珍しい事だった。少しはこの国にも良心があるのかと思った。だって、今まで見た警察の暴行事件のビデオ、どう見たって警察が悪いのになんだかんだと弁護する声が必ずあった。


今回は違う。FOXニュースでさえ、批判していた。


そして、その警官は免職。何も無いよりいいけどさ。

人を殺して受ける最大の罰が「免職」って人、他にいるか?


悲しみを超えて、しかし悪者が最後に懲罰を受けるカタルシスを誰だって期待するでしょう?それがない。


そして暴動が始まった。


そして人々は言ったんだ


「このような暴動はほんとダメ。社会はこのように運営されるものでない。略奪なんかダメだ。放火なんかダメだ。私達の社会はこんな風にできてない。」


それ聞いて思った。


社会!?


社会ってなんだよ。社会は契約だよな?人間として他の人間と結ぶ契約。この集団で生きるにあたって、共有のルール、共有の理想、共有される生活様式に同意し結ぶ契約。


契約は、各メンバーが守ってこそ働くものだろう。


全員が略奪に走らないのはなぜだ?契約してるからだ。今、この国で生きて、辛い思いをしている黒人が、コロナで職を失い、貯金もすっからかん。それでも「ルールは守る。それが社会の一員としての契約だから。」と言ってきた。そして何度も何度も、この「社会」に裏切られて来た。・・・もっと読む



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