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執筆者の写真Beyond Media

探究心こそが、軽快さと開放感を得る。この学校は自分が自分らしくあるためにある

writer Mari Adachi Editor-in-Chief of Beyond Media


9月21日の水曜日の朝に行われたスタンフォード大学恒例の第132回コンボケーション(入学招集式)での内容がとても素晴らしいので、ぜひ紹介したい。


コンボケーションで、Marc Tessier-Lavigne学長は新入学生たちに、広く探求し、さまざまなことに深く関わることで将来に備えるよう語った。世界は多くの課題に直面している、としつつも、一方でスタンフォード大学が創立時以来持ち続けている情熱や楽観主義、目的意識は、今日も健在であると、新入生に向けて演説した。


「どのような分野に進もうとも、スタンフォードは自分の道を切り開く機会を与えてくれます。そうすれば、個人的な充実感を得るだけでなく、自分のコミュニティやより広い世界に貢献することができるのです」と学長は述べた。


数千人の新入生やその家族、その他のゲストがフロスト・アンフィシアターに集まった。新年度の正式なスタートを飾る伝統的な式典に参加するためだ。このセレモニーは、新入生をスタンフォードに迎え入れ、キャンパス内での生活に慣れてもらうための1週間の新入生オリエンテーションの幕開けでもある。


アメリカの大学は9月が新年度初め。親元を初めて離れて寮生活を始めたり、環境も多く変わる新入学生にとっては、何もかもが初めての経験で不安も多い。そうした学生に向け、大学というものがどういう場所なのか、そしてどういう考えて方で大学は生徒たちに接するのかなど新学期の最初の1週間ほどはオリエンテーションという形で様々なイベントを開く。

スタンフォード大学は式典の冒頭、旗手を先頭にした正式な行進、音楽演奏から始まった。そして宗教・精神生活学部のTiffany Steinwert学部長が挨拶をした。それに続いて、興味深かったのは、ナバホ族の一員である在校生が言葉を述べたことだった。


4年生に在学しているAlyssa Charleyさんは、大学の土地利用を認める言葉を述べた。「私たちは、スタンフォード大学がムウェクマ・オーロン・トライブの先祖代々の土地に位置していることを認識しています。この土地は、昔も今もオーローンの人々にとって非常に重要なものです。私たちは、この地域とインクルージョン(受け入れて一体となる)という価値観に基づき、大学と先住民の関係を認め、尊重し、可視化する責任を負っているのです。」


スタンフォード大学の地はナバホ族(アメリカ南西部に居住していたネイティブアメリカンの種族)の土地にあり、それと共に共存していくという精神を説明したのだった。


“I urge you to prepare for the future in two important ways: by exploring broadly and by engaging deeply,”

その後登壇したMarc Tessier-Lavigne学長は「広く探求すること、深く関わることという2つの重要な方法で、待ち受ける様々な将来に備えることができるのです」と述べ、大学進学のために何年も準備をしてきた学生にとって、自分の興味を探求するのにこれほど良いタイミングはないと語った。


「大学時代ほど自由闊達にアイデアを追求できるチャンスは、二度とないかもしれません。中世文学から国際関係論まで、天体物理学から美術史まで、生体力学工学から持続可能都市まで、幅広いジャンルを網羅する私たちの新しい学部、スタンフォード・ドアー・スクール・オブ・サステナビリティで提供されるコースです。探検は楽しいもので、すぐに実用的とは思えないようなことでも、将来役に立つことを教えてくれることが多いのです」と学生に語りかけた。


特に、2005年のアップルの創業者、スティーブ・ジョブズ氏がスタンフォード大学の卒業式でスピーチした有名な演説を引き合いに出し、「ジョブズ氏は大学で受けたカリグラフィー(文字デザイン)の授業が自分にとって魅力的だったことが分かったと語っていました。その後、ジョブズ氏は新しいコンピュータであるマッキントッシュをデザインし、優れたタイポグラフィ(書体)を取り入れた最初のコンピューターにしたのですから、その知識は非常に貴重なものとなったのです」として、大学での学びの重要性を訴えた。


“Exploration will teach you nimbleness, openness, and prepare you for a lifetime of learning.”

さらに、変化に満ちた不確実な未来に備えるには、探求することが最良の方法であるとも述べた。


大学でさまざまな考え方や分野に出会うことで、生涯を通じて新しい情報を継続的に取り込み、新しい考え方に適応する能力を養うことができるとし、ここ数年、変化が一瞬にして起こることを私たちに教えてくれていると付け加えた。


探究心こそが、軽快さと開放感を教えてくれ、生涯にわたって学び続けるための準備をさせてくれると強調した。また、新しい興味深い方向へ導いてくれる指導者を探し、自分の選んだ分野に深く関与していくようにと呼びかけた。実際に研究に参加することで、発見に貢献する爽快感を味わうことができるのだとしている。


「的確な質問やデータの評価など、自分の能力を磨くことにもつながり、広く批判的思考力を鍛え、向上させることができるのです」。


スタンフォード大学での勉強、生活を通して、学生同士が関わり合い、支え合い、豊かな社会的ネットワークと素晴らしい友情を育む機会があり、その多くは一生続くということも語った。


2022年9月21日の時点で、スタンフォード大学は1,738人の新入生と、47人の編入生がスタ入学している。出身地は全米50州、海外はジンバブエ、オーストラリア、ウクライナなど75カ国に及ぶ。新入生の13%は外国籍で、母国語は英語以外の77の言語だという。また、新入生の21%が家族で初めて4年制大学に進学した家庭だという数字も紹介された。


“This isn’t a community in which you need to recalibrate to fit in,” she said. “You got here by being you.”

学部教育担当のSarah Church副学長は、スタンフォード大学が多様な学生たちで構成され、また開かれた大学であることを強調し、「スタンフォード大学は、あなたが社会に馴染むために教育を施すような場所ではありません。あなたたちが、あなたたちであるために、ここがあるのです」と力強く語った。


学生代表のMona Hicksさんも、この言葉に共鳴し、「スタンフォードにいることが自分の居場所であり、ここはあなた方のHome(家)なのです。」コミュニティとの帰属意識が、スタンフォードの近隣居住モデルの基礎であることを指摘した。「私たちは、あなた方一人ひとりが、コミュニティの中で見られていると感じ、つながり、心配され、受け入れられ、尊敬され、大切にされていると感じてほしい」。


温かさと情熱に溢れたイノベーション教育のコンボケーションは今年も健在だった。


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